223系

■ 概要

223系は、1989年に京阪神間と奈良方面に導入された221系の設計を基礎に、207系の足回りを組み合わせて、1994年に阪和線、1995年に本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)に登場した車両である。

阪急その他3社と競合する京阪神間と、近鉄と競合する阪奈間に221系を導入すると、JRは続いて南海と競合する泉南・紀州方面に焦点を定めた。ちょうど関西国際空港の開業が間近に迫っていたこともあって、JRは南海に徹底した戦略で対抗した。

本線のお下がりが回されることの多かった阪和線であったが、JRはこの阪和線に新型車両を導入し、関西空港方面には旧型電車を走らせない(乗務員訓練で113系が入線したことはあるが)というやり方で、新規開業路線のフレッシュなイメージをアピールした。さらにJRは「大阪環状線」という強みを生かして、天王寺駅の東側で阪和線から大和路線の線路に分岐する短絡線を設置し、ここから大和路快速と同様のルートで大阪環状線に入り、梅田と関西空港を直結する快速電車の運行を開始した。当初は8両編成の前2両が天王寺で分かれてJR難波(O-CAT)に、残り6両が大阪(梅田)方面に向かうという運行パターンが採られた。大阪駅で折り返せないこともあって、このときから大阪方面は京橋まで乗り入れている。

対する南海は、関西空港方面に「空港急行」を設定し、新型車両として1000系を導入してはいたが、古参の7000系も関西空港に乗り入れていた。おまけにすべて通勤電車と同じロングシートであり、その上、ターミナルがなんば以外にはなく、梅田に行きたい場合には新今宮駅で大阪環状線か、なんば駅で御堂筋線への乗換え、それも(なんば駅の場合)時間のかかる乗り換えを余儀なくされるという致命的な弱点が災いして、南海はJRの攻勢を前に劣勢となった。

関西空港方面で好評だったため、JRは本線への223系の導入を計画した。しかしその最中に阪神・淡路大震災が襲来し、JRもかなりの打撃を受ける。それでも、復旧に時間を要した阪急・阪神をよそに、いち早くJR神戸線を復旧させたJRは新快速の運行を再開し、223系を前倒しで導入した。車体の構造などが変わったため、本線に導入された車両は新たに1000番代となった。

看板列車である新快速の車型を223系に統一して全列車を130km/hで運行するため、JRは1999年から、モデルチェンジした2000番代を本線に導入した。車体の構造が変わったため、1000番代のような側面のビードラインはなくなり、スッキリした外見となった。2000年には早くも新快速が223系に統一され、それからも長期にわたり2000番代の製造は続いている。

関西空港方面が重点的に強化される一方、和歌山方面はいい加減に扱われ、関空開業後日根野以北と以南の本数にはかなりの格差が生じていた(ただし、今でも日根野を境に本数は大きく減る)。このため、1999年には和歌山方面と梅田の接続改善を目的に「紀州路快速」の運行を開始し、223系の編成を従来の6両+2両から5両+3両に組み替えることとなる。このとき先頭車が2編成分不足したため、本線に導入されていた2000番代の阪和線バージョンとして2500番代を「先頭車のみ」導入した。表情は0番代のつぶらな瞳から、シャープな角型4灯に変わった。

2003年には、塩害による痛みの激しい213系の置き換えのため、瀬戸大橋線に5000番代が導入された。JR四国も、同一タイプの5000系を導入している。そして213系自体が2つドアの車両で、通勤ラッシュ時には遅れの原因となっていたことや、213系がJR西日本保有の車両で、JR四国はJR西日本に車両使用料を支払っていたことも理由のひとつといわれている。

JR西日本の車両は2両編成、JR四国の車両は2階建てグリーン車を含んだ3両編成で、車窓からの眺望を損ねないため、側面窓ガラスは2000番代の内倒れ開閉型ではなく、一般的な上下開閉型となった。2007年以降に製造された本線向けの車両もこのタイプとなっている。

2006年には、阪和線・関西空港線向けに2500番代8両編成が増備された。このとき、2500番代でははじめての中間車が登場している。

2007年夏から、5000番代2両編成の中間に、本線向けの2000番代のサハ223-2000が増結されている。この2000番代はもともと事故で運用を離れた5000番代の代わりに岡山側の先頭についている車両であるが、輸送力確保もかねて5000番代の中間車として増結されている。もともと本線でも車両数に余裕があったため、20両近い車両が増結用として岡山に出向してきている。瀬戸大橋線は事故が多く、全11編成中2編成の岡山寄り先頭が2000番代に置き換わっている。ちなみに、213系時代はグリーン車のない編成も3両だったので、皮肉にも事故による代走の結果9両編成のマリンライナーが復活したといえる。

2007年から、パンタグラフを2基設置した編成が登場し、2008年3月15日ダイヤ改正で開業したおおさか東線の「直通快速」でデビューした。この列車はおおさか東線・JR東西線を経由して尼崎〜奈良を運行する列車で、平日・土休日ともに朝は西行、夕方は東行(奈良方面)が運行される。奈良からの場合、朝の大阪行き快速は「JR難波方面」「環状線西九条・大阪方面」「JR東西線北新地方面」と3種類が存在することになるため、行先表示は「おおさか東線 北新地・尼崎」とかなり詰まった表示になっている。パンタを2基搭載しているのは、剛体架線を採用するJR東西線での離線対策である。

また、2500番代にも2007年からマイナーチェンジした4両編成が登場し、2008年3月15日のダイヤ改正からデビューした。このダイヤ改正により、日根野電車区の223系には最大3バージョンが混ざった、いわゆる「混色編成」が登場した。

2008年初頭からは、2000番代のバリエーションとして、ブレーキ性能を221系にそろえた6000番代が登場した。221系との混色編成を前提にした車両であり、新快速には通常使用しないので、この車両は非常口と乗務員ドアにオレンジの線を入れて、通常の223系と識別している。上記のおおさか東線向け車両も、130km/h対応性能を必要としないことから、営業開始目前で6000番代となっている。

■ 大阪環状線・阪和線・関西空港線

1999.5.10ダイヤ改正後

「0番代 関空・紀州路快速」をダウンロード

「2500番代 5+3両編成」をダウンロード

2008.3.15ダイヤ改正後

「2500番代(3次型)4+4両編成」をダウンロード

「0番代 4両編成」をダウンロード

「0番代+2500番代(3次型)4両編成」をダウンロード

「0番代+2500番代(1・3次型)4両編成」をダウンロード

■ JR京都線・JR神戸線・琵琶湖線・湖西線・JR宝塚線 ※8両編成に含まれている画像で、4両編成も再現できます。

「1000番代 8両編成」をダウンロード

「2000番代 3次型 8両編成」をダウンロード

「2000番代 6次型 4両編成」をダウンロード

■ JR東西線・学研都市線・おおさか東線 ※8両編成に含まれている画像で、4両編成も再現できます。

「6000番代 4+4両編成」をダウンロード

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